大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(オ)714 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

第一点について。

しかしながら、訴外Dが所論職責に在つて、所論事務を掌つていたとしても、D

の原判示の行為を同人が所論職責において、所論事務所を代表して為したものと認

定しなければならないものでもないと同時に、所論証人の証言によつて、右Dと訴

外Eとの契約が、所論のような趣旨を以て結ばれたものと、必ずしも認めなければ

ならないものでもない。又、甲第五号証は原判決認定のような事情の下に、作成さ

れたものである以上、これを以てこの書証が必ずしも、所論売買の成立を首肯させ

るに足る資料と断じ得るものでもない。論旨は畢竟原審の専権に属する証拠の取捨、

判断並びにこれに基く自由な事実認定を非難する以外の何ものでもない。

第二点について。

原判決は、その挙示する証拠資料によつて、訴外Dは所論事務所を代理して、本

件商品の売買契約をしたものではなく、単に所論訴外会社の為め本件商品の買主を

求めて、これが売買の斡旋を為すべき旨、約定した事実を認定し、従つて民法一〇

九条、一一〇条を適用する余地ない旨、説示したのであつて、右諸証によれば、右

のような認定も是認できないことはない。

論旨も帰するところ、原審の裁量に属する事実認定の非難でしかない。

第三点について。

しかしながら、原判決認定の判示事実よりすれば、訴外Dが本件物件を、倉庫に

寄託した行為が、同人の職務行為又は、いわゆる職務に関して為した行為でないと

判断できないわけのものでもなく、従つて所論のように、同人に本件物件に対する

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事務管理者としての責任があつたとしても、それは同人の職務の範囲外における個

人的責任であるから、民法七一五条を適用して被上告人の責任を問い得べき限りで

はない。原判決には所論の違法ありというを得ない。

以上のとおりであるから論旨は、すべて「最高裁判所における民事上告事件の審

判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号、)一号ないし三号の

いずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」

ものと認められない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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